得も言われぬ感情
「じーちゃんが死ぬ」
はっきりとその言葉を聞いたわけじゃないが、自分の心が揺さぶられた。
台風の中、一蘭の中・・・。
ふと考えると、じーちゃんのお姉さんが死んだ以来だな。
何年前だ?
小学生低学年ぐらいのときじゃないか。
少なくとも20年ぐらい前なのかね、人の死を間近に見たのは。
台風の影響で電車が止まり、帰るに帰れないことを相談すると、父親は車で駆けつけてくれた。
一緒にご飯を食べることになり、寄った一蘭での会話だった。
じーちゃん(父方。母方は自分が生まれる前に他界)が入院していたことは知っていた。
原因は腰の手術だったが、同時に肺炎を患っていたらしい。
この時点で、高齢者の死亡理由を高く占める病気ということで身構えていた。
肺炎のための薬を使う。
しかし、これはしばらくすると効果がなくなるらしい。
だから、もっと強い薬を使う。
でも、これもしばらくすると効果がなくなる。
では、その先に待っているのは・・・。
じーちゃんの娘(父親の姉)が病院に呼び出され、延命治療をするかそれとも・・・との確認をされたらしい。
父親は本人の意識もはっきりしていないし、そのまま治療を続けても・・・と回答し、姉もその意向を病院へ伝えたらしい。
つまり、死ぬ。
遅かれ早かれ、人は死ぬ。
でも、今回はそうじゃない。
割と早く・・・。
いつかは分からないが、・・・割と早く。
とりあえず。
会いに行けるときに、ちゃんと会いに行かないとダメだなー・・・。